法定刑
暴行の罪を犯した場合，1月以上2年以下の懲役もしくは1万円以上30万円以下の罰金または1日以上30日未満の拘留もしくは1,000円以上1万円未満の科料に処せられます（刑法208条）。
もっとも，複数人で暴行行為に及ぶなどした場合，集団的暴行の罪となり，1月以上3年以下の懲役または1万円以上30万円以下の罰金に処せられます（暴力行為等処罰に関する法律1条）。
なお，暴行行為または集団的暴行行為から3年で時効になります（刑事訴訟法250条2項6号）。
弁護方針
逮捕等回避
暴行の場合，被害者が怪我していないことが前提になっているので，現行犯逮捕されない限り，逮捕される可能性は低いといえます。
早期に弁護士に相談し，自首も検討しつつ，逮捕・勾留回避活動をしっかり行い，逮捕・報道回避，釈放獲得を目指す必要があります（お知らせ「刑事事件の報道や勤務先・学校への露呈の回避」も併せてご覧ください）。
仮に勾留され，起訴されてしまったとしても，弁護士が適切な内容の保釈請求をすれば，保釈が認められる可能性は十分にあります。
示談が成立すれば，その可能性はさらに高まります。
もっとも，極めて悪質な事案の場合，保釈が認められないこともあります。
このような場合，裁判がある程度進んだ時点で，再度保釈にチャレンジすることになります（お知らせ「勾留と保釈」も併せてご覧ください）。
認め事件
暴行の場合，弁護士を介して被害者に謝罪した上，示談成立を目指すことが活動の中心になります（弁護士費用プラン①参照。お知らせ「示談」「情状弁護」も併せてご覧ください）。
また，被害者が示談を完全に拒否している場合，弁護士を介して贖罪寄付を行うこともあります。
もっとも，後に被害者が翻意し，寄付金に加えて示談金も用意しなければならないリスクもありますので，贖罪寄付を行うかどうかは，慎重に判断しなければなりません。
他に，自首，家族など監督者の存在のアピールなども必要になってきます。
また，弁護士が行為の態様・結果・動機といった基本的な部分もきちんとチェックし，当該暴行行為が同種事案の中で特に悪質とまではいえないと主張できるような要素を，漏れなく拾い上げる必要もあります（お知らせ「行為責任主義」も併せてご覧ください）。
否認事件
暴行の場合，捜査段階では，弁護士が頻繁に接見するなどして取調べ等の捜査状況を把握すると共に，終局処分の見通しを早期に把握することが必要不可欠です。
弁護士の見極め次第では，嫌疑不十分を狙うことも十分にあり得るところです。
もっとも，酒に酔っていて覚えていない，などといった故意否認は，アルコールの呼気検査でよほどの数値が出たり，明らかな異常行動が見られたりしない限り，言い分を信用してもらうことは困難といわざるを得ません。
被疑者自身は，黙秘権行使を原則とし，あえて積極的に供述していくときは，弁護士と相談しながら慎重に行っていく必要があります。
裁判段階では，まず弁護士が検察官証拠を吟味し，その上で網羅的な証拠開示請求を行って開示証拠を精査し，弁護士と被告人が綿密に協議しながら，検察官立証の要を崩す方策を見つけ出す必要があります。
要となる検察官証拠に対する証拠意見はすべて不同意として，証人の証言の不合理な部分を反対尋問で徹底的に弾劾したり，被告人に有利な証拠を積極的に収集・提出したり，被告人は無罪であることを弁論で強力かつ説得的に論じたりするなど，事案に応じ様々な手を打っていくことになります。
関連条文
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは，2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
暴力行為等処罰に関する法律1条
団体若は多衆の威力を示し，団体若は多衆を仮装して威力を示し又は兇器を示し若は数人共同して刑法第208条，第222条又は第261条の罪を犯したる者は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処す。
刑事訴訟法250条
2 時効は，人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については，次に掲げる期間を経過することによって完成する。
六 長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年
刑法12条
1 懲役は，無期及び有期とし，有期懲役は，1月以上20年以下とする。
刑法15条
罰金は，1万円以上とする。ただし，これを減軽する場合においては，1万円未満に下げることができる。
刑法16条
拘留は，1日以上30日未満とし，刑事施設に拘置する。
刑法17条
科料は，1,000円以上1万円未満とする。
お客様の声
路上で成人女性に背後から抱きついたという条例違反（痴漢）→暴行の事案で，示談や更生環境整備等の活動により，不起訴処分を獲得したケース
【ご本人の声】
5月の上旬に，路上で女性に対し，背後から抱きつくという犯行に及んでしまい，数件繰り返したところで，帰り道に警察にたまたま職務質問を受けたことがきっかけで，その場では自白しなかったものの，結局怖くなり，数時間後に自首をしました。
この時点では迷惑防止条例違反ということですぐに帰され，在宅捜査になりましたが，その後の処分を考えると不安でいっぱいでした。
肝心の被害者様への謝罪の感情は薄く，保身ばかりを考えていました。
末原先生に弁護依頼をすると，その認識の甘さをすぐに見抜かれ，被害者感情を理解するために，性被害に関する書籍をたくさん紹介してもらいました。
読んでいくうちに，自分が身勝手に軽はずみでやった行為により，女性は一生のトラウマを抱えることを知り，ようやく自分が犯した罪の重大さが分かりました。
末原先生からも何度も電話を頂き，その都度色々なアドバイスをもらい，様々な勉強をさせてもらいました。
個人的な人生の相談にも乗っていただき，今後の人生の指針までも示してくださり，感謝の気持ちしかありません。
また，紹介された性依存のクリニックでは，多くの当事者と知り合い，本に書いてあったとおり，性犯罪はとても再犯が多いことを実感しました。
今回，末原先生のご尽力により，結果的に1人の被害者様と示談をすることができ，不起訴になりましたが，証拠不十分により罪に問われなかった件もあり，すべての被害者様への謝罪の気持ちを忘れないよう，学んだことや通院を通して一生涯向き合っていきます。
最終的に罪名は暴行に変わりましたが，それは法的な処置に過ぎず，事実として自分のやったことは性暴力です。
今回の事件を通して，末原先生に色々なことを教えてもらったおかげで，自分自身の人生とも真剣に向き合うきっかけになりました。
最終処分が下されるまでの半年間という長い間，親身に付き合い続けていただき，本当にありがとうございました。
そして，二度と事件を起こさないことが，被害者様への償いと，末原先生への感謝であると思っています。
重ね重ね，本当にありがとうございました。
【お母様の声】
まず初めに，息子の犯した神奈川県迷惑行為防止条例違反（痴漢）に対し，被害者様との間で早急に示談を成立させ，不起訴に導いていただいたことに大変感謝しております。
誠にありがとうございます。
事件は，息子が夜1人での散歩中に起こしてしまいました。
日頃のストレスから，お酒を飲みながらの散歩中に手を出してしまったらしく，帰宅後すぐに私に話してきました。
元々，息子は精神疾患を持っていて，1つの物事にこだわりが強く，その日も，頭の中が自分のしてしまったことでいっぱいになっているのが，見てもすぐにうかがえて，警察に電話し，連行されていきました。
5,6時間後に帰宅しましたが，息子が絶望している姿を見て，ネットで弁護士事務所を調べ，ここにしようと思ったのが，末原先生の事務所でした。
この日から，息子の更生に向けての日々が始まり，毎日の感情の違いや，親子の気持ちのすれ違いなど，本当に大変な日々でした。
私としては，息子を1人にしてはいけない，また何かをさせてはいけないという気持ちから，外出するとき，病院に行くときはいつも同行し，自由がないという苦しさもありましたが，不思議なもので，慣れてくると当たり前のようになり，一緒に乗り越えようという気持ちが湧きました。
また，末原先生にご紹介いただいた，たくさんの本を読みました。
本を読むことで，息子の気持ちも理解でき，寄り添える感じになりました。
末原先生にも，たくさん電話いただいたりして，お忙しい中，長い時間付き合ってもらい，親子共々成長させてもらった思いです。
特に，息子の将来をすごく考えてくださっていて，その言葉1つ1つが息子に勇気を与えてくれていた気がします。
すれ違っていた親子の気持ちも，少しずつですが寄り添ってきた実感があり，笑顔の出る日が多くなってきた感じです。
まだまだこの先不安があります。
息子が自由を手に入れ，今回犯してしまった罪を忘れてしまうのではないか，二度と，と言いながらもまたしてしまうのではないか，と気を緩めることはできませんが，何気ない親子の絆を保っていれば，息子のことを理解できていれば，会話が途絶えなければ，前進できる，そう信じようと思います。
息子が痴漢をしてしまったことは，決して許されないことです。
ですが，このことがきっかけで息子が末原先生と出会い，可能性を見つけ歩み出し，成長できたのも事実です。
今，息子は1つずつ希望に向けて成長中だと感じます。
末原先生，本当に感謝です。
前科も付かずに済み，息子にもずっとずっと感謝の気持ちを持ち続けてほしいと願うばかりです。
そして，被害者様が抱えてしまった心の傷のことも，一生忘れないでいてほしいと思います。
弁護活動以外にも，息子の将来を親身に考えてくださった末原先生，心より本当にありがとうございました。
どうかお身体に気をつけてお過ごしくださいませ。
弁護士から
この先，順調な時期ばかりではないと思いますが，苦しい時期にこそ，お二人が本当に今回の件を通じて成長したのかが試されることになります。希望を繋ぐことができるか否かは，ひとえにお二人の努力次第ですので，後悔しないようベストを尽くしてください。
数か月前の同種前科ほか多数の前科前歴がある中，近隣住民の胸部を手で突いたという暴行の事案で，更生環境整備等の活動により，執行猶予判決を獲得したケース
末原先生には，起訴から裁判までの2ヶ月の間に，10回以上も面会に来て頂き，その都度2時間3時間と時間をとって頂き，こんな私などのためにここまで熱心に取り組んでくれる先生がいるのかと，強い感銘を受けました。
ご指導の甲斐あって執行猶予となり，今では新しい仕事と住居も見つけることができました。
すべて末原先生のご尽力のお蔭です。
誠に有りがとうございました。
弁護士から
新しいお仕事とお住まいが見つかったとのこと，本当に良かったです。これまで犯罪歴を積み重ねてきた自分が恥ずかしいとおっしゃっていましたが，そのお気持ちを忘れず，トラブルとは距離を置いてお過ごしください。
交際相手との別れ話がこじれ，暴力を振るって怪我をさせてしまったという暴行・傷害の事案で，示談等の活動により，不起訴処分を獲得したケース
末原先生には，私が暴行・傷害容疑で加害者となってしまった際に，相手方との示談交渉や，検察の方とのやり取りをしていただきました。
当時交際していた女性との別れ話がこじれ，私の頭部と相手の女性の頭部がぶつかってしまい，暴行・傷害事件として被害届をだされたことが発端でした。
刑事事件はもちろんのこと，民事どころか交通トラブルにすら巻き込まれたことのなかった自分が，いきなり刑事事件の加害者となってしまうなど夢にも思いませんでしたし，まさに青天の霹靂でした。
法律や司法，刑事手続の知識など一切ないままに，いきなり加害者となってしまったことで，これからどうなってしまうのか，今自分はどういった状況に置かれているのか，やるべきことは何なのか，といった，ありとあらゆる不安が自分の心を覆っていたことをよく覚えています。
右も左もわからず，ただ沈鬱とした混乱の中に置かれた私が，藁にもすがる思いで弁護を依頼したのが，末原先生でした。
末原先生は，まず，私の話を真摯に聞いてくださり，次に，そのとき私がどういった立場に立たされているのかということを，とても分かりやすく，お話ししてくださいました。
まだ混乱の中におり，自らの依頼内容でありながら，うまくまとめてお伝えすることのできなかった私でしたが，非常に冷静に事実を分析し，お話を進めてくださる末原先生と接しているうち，少しずつ自らも落ち着いていくことができたことを覚えています。
その後末原先生は，この案件の，私の将来のことも視野に入れた最良の解決として，①刑事事件として不起訴処分に持っていき，前科としても記録が残らないようにすること，②①の達成のために，相手方との示談を成立させ，被害届を取り下げさせること，という二点を提示してくださいました。
このとき私が置かれていた状況は，示談の成立なしには起訴は免れず，刑の軽重にかかわらず，記録として前科が残ってしまう，といった状況でした。
そのため，検察が起訴するか否かを判断する前に，まず相手方との示談を成立させることが不可欠であったのです。
冷静に状況を判断し，同時に最良の目指すべき目的を示していただいたことで，当てのない絶望感に駆られていた私も，落ち着いて自らの状況，目指すべき方向を見つめることができました。
その後，実際に相手方との示談交渉に入っていく中でも，末原先生は，非常に強硬な姿勢を崩さない相手方に対し，粘り強く交渉を試みてくださり，またその傍らで，常に冷静に，私にやるべきことがある場合，その都度細かく指示してくださいました。
具体的には，相手方だけではなく検察官も目を通すことになる謝罪文などの文書の作成法など，着実に少しでも私が有利な方向へ事態が動くよう，ありとあらゆる手を尽くしていただきました。
示談交渉が長引いている間は，検察官にもコンタクトをとってくださり，示談交渉の結果が出るまで検察の判断を先延ばしにしてもらうよう交渉もしていただきました。
そして，末原先生が本当に粘り強く交渉してくださったために，相手方との示談を成立させることができ，刑事事件としても，起訴猶予処分，として，不起訴処分を獲得することができました。
すべては末原先生の粘り強いご尽力のおかげであったと，本当に感謝してもしきれません。
また，一連のことを進めていく中でも，末原先生は，常に冷静に事態を整理したうえで，逐一現状がどのようなものか細かく報告してくださり，加えてその都度先述したようなきめ細やかなサポートや指示をいただけたことで，私としては，非常に安心して，この事態に向き合うことができました。
私が突然巻き込まれたこの事態に向き合い，最良の形で乗り越えることができたことは，ひとえに末原先生の群を抜いた手腕と，冷静沈着かつ真摯で寄り添ったサポートがあったからこそのことです。
末原先生には，言葉では言い表せないほどの感謝の念でいっぱいです。
本当にありがとうございました。
弁護士から
これまでで最も難航した示談交渉の1つでしたが，最終的にはこちらの誠意が通じて示談が成立し，無事不起訴となり，本当に良かったです。今回の件に対する反省を胸に，社会で活躍していっていただければ，私としても嬉しい限りです。
