被告人が有罪であるとき,刑の軽重を決める要素としては,犯罪情状(犯情)と一般情状があります。
示談が成立しているか,被告人が反省しているか,更生環境が整備されているかなどといった要素は,一般情状に属するものと理解されており,執行猶予を付けるべきかどうか微妙な事案などにおいては,このような一般情状が結論を左右することも少なくありません。
ですので,弁護士としては,一般情状に関する弁護活動に全力で取り組む必要があります。
もっとも,日本の刑事司法は,行為責任主義という大原則を採用しており,行為に見合った責任を,という観点から,行為がどれほど悪質か,という点をまず問題にします。
行為は,態様・結果・動機(意思)に大別されて分析され,それが刑の大枠を決めることになります。
弁護士からすると,一般情状の方が主張を展開しやすい一方,犯情については,行為そのものの話で動かし難いため,犯情に関する主張を最初から諦めてしまう弁護士も,残念ながら散見されます。
ですが,犯情こそが情状の根幹部分である以上,ここで被告人にとって有利な事情を主張し損ねるわけにはいかないように思います。
有利な犯情はないか常に考えつつ,一般情状についても,できる限り犯情に引きつけて主張することが,情状弁護においては必要不可欠といえます。(末原)
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