同じ条例違反でも,痴漢と盗撮と淫行では,それぞれ罪質が異なり,それに応じて,認め事件における弁護の仕方も変わってきます。
まず,痴漢は,最も被害者の処罰感情が重視される類型といえます。
被害者が特定されていなければ,不起訴どころか,不立件や不送致で事件が終結することもありますし,示談が成立すれば,同種前科が複数あるような場合でない限り,起訴猶予になる可能性が十分にあります。
一方,盗撮も,被害者が特定されている場合,示談が最重要になる点は,痴漢と異なりません。
ですが,被害者が特定されていなければ,処罰されることはないかといえば,必ずしもそうではありません。
スマートフォン等が解析に回され,同端末により撮影された写真や動画は,既に消去された分を含め,すべて復元されますが,その数があまりに多いと,社会的に容認するわけにはいかないということで,略式罰金になることもあります。
弁護の仕方として,示談だけでは足りない場合もあるということです。
最後に,淫行は,強姦や強制わいせつとはされていないことから分かるように,相手の同意があることが前提になっています。
そうだとすると,相手に示談を持ちかけるというのは,ややおかしな話だということになります。
そもそも,被害者の性的自由を保護するというよりは,青少年との淫行は社会的に容認できないというパターナリズムから罰則が規定されているので,弁護の仕方としては,処罰の社会的必要性が低いことを主張していくことになります。
このように,痴漢と盗撮と淫行では,それぞれ弁護の仕方が異なってくるので,弁護士としては,上記のことを正確に理解しておかなければならないといえます。(末原)
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