少年事件につきましては,以下の解説のほか,お知らせ「少年事件」「情状弁護」も併せてご覧ください。
観護措置回避
被疑者が20歳未満の場合,一通り捜査を終えた検察庁は,事件を地方裁判所や簡易裁判所に起訴するのではなく,家庭裁判所に送致します。
家裁送致後,まず問題となるのが,裁判官が少年について観護措置をとるかどうかです。
観護措置とは,少年が非行に走ったのはどのような問題を抱えているからかを明らかにするため,少年を鑑別所に留置することをいいます。
一度観護措置がとられてしまえば,少年は,審判が終わるまでの約1か月間,鑑別所から出てこられないことがほとんどですので,弁護士は,少年の付添人として,家裁に対し,観護措置の回避を求める意見書を提出し,少年の釈放を求めていくことになります。
観護措置をとるかどうかの判断は,事件が家裁送致されたその日に出ますので,迅速な対応が必要不可欠であり,家裁送致前から弁護士に依頼しておくことが望ましいといえます。
少年院回避
観護措置回避と共に,少年が最終的に受ける処分をいかに妥当なものとするかも,当然重要です。
審判自体行うまでもないという判断である審判不開始や,審判の結果処分は必要ないという判断である不処分があり,比較的軽微な事案や,非行事実を争っている事案では,この辺りを狙っていくことになります。
もっとも,大半の事案では,少年を少年院に行かせるべきかどうかが問題となり,付添人弁護士は,少年の少年院送致を回避し,社会内で定期的に様子を見る保護観察にしてもらうための活動を行っていくことになります。
示談など,成人事件において重要な弁護活動は,少年事件においても当然重要ですが,それ以上に,更生環境がどれだけ整備されているか,ということが非常に重要です。
①少年が自分のしたことの何がどう悪いのかを理解し,二度と非行に走らないための対策を具体的に考えているか(悪い交遊関係を断ち切れるか),②家族との関係が改善され,家族の方でも少年を監督する体制を整えているか,③学校や勤務先との関係が改善され,学校等の方でも少年を監督する体制を整えているか,などといった点について,調査官面接,心身鑑別,付添人意見書,そして審判の中でどれだけアピールできるかが,処分の内容を左右します。
付添人弁護士が,家庭調査官とも協力しつつ,少年やご家族を正しい方向に導いていくことが必要で,この辺りは,少年事件の経験が豊富でないと対応が難しいところです。
また,少年は,成人に比べ,精神的に不安定になりやすいので,成人以上に頻繁に警察署で接見し,鑑別所で面会して,少年と信頼関係を築き,精神的な支えとなることも,弁護士には求められます。
もっとも,逮捕・勾留や観護措置といった厳しい経験を通じ,少年の成長が促される側面もありますので,弁護士にしてもご家族にしても,毎日会いに行けばよいという単純なものではありません。
親身になりながらも厳しく接することが必要で,この点からしても,数多くの少年事件を扱ってきた弁護士に依頼することが重要といえます。