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起訴後勾留の濫用

起訴直後に保釈請求をすると,余罪捜査の必要がある,という理由で却下されることがあります。

余罪は重要な情状事実であり,それについて罪証隠滅がなされれば量刑にも影響があるから,ということのようです。

しかし,このような考え方は大いに疑問です。

保釈を許可するか否かは,あくまで勾留の根拠となっている公訴事実を基準に判断すべきであって,もし余罪について罪証隠滅のおそれ等が認められるのであれば,裁判所が保釈を許可すると同時に,捜査機関が再逮捕すれば足りるように思います。

それを,裁判所が保釈請求を却下し,起訴後勾留を続けさせる方向で処理しているというのは,捜査機関に必要以上に便宜を図るものであるように思われます。

なぜ必要以上かといえば,起訴前勾留には,最大20日間という期間制限が設けられていますが,起訴後勾留によれば,そのような制限なく捜査を進められるからです。

案の定,再逮捕によった場合より,起訴後勾留によった場合の方が,はるかに捜査に時間が掛かり,その分,勾留期間が冗長になってしまっています。

裁判所には,余罪を重要な情状事実として重視し過ぎることには,このような弊害もあることを意識し,人一人閉じ込めるか否かという勾留判断に,この上ない厳格さをもって臨んでもらいたいと思っています。(末原)

 
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