ここでは,末原刑事法律事務所公式サイトの中で,意味が分かりにくいと思われる用語を解説しております。
正確さよりも分かりやすさを重視しており,厳密な定義を確認できるわけではございませんので,あらかじめご了承ください。
〔い〕
一部執行猶予 | 懲役刑の執行が,一部猶予されること。懲役3年一部執行猶予2年であれば,1年間服役して出所した後,2年間何事もなく過ごすと,本来はもう2年刑務所に行かなければならないところ,それが免除される。 |
---|
〔か〕
過剰防衛 | 自己または第三者への侵害に対し,やむを得ず反撃したが,それが過剰であった場合。過剰防衛が認められると,刑が減軽される。 |
---|---|
科料 | 刑罰の一種で,1,000円以上1万円未満を国に納める。交通違反の際に納める反則金は過料であり,科料とは異なり前科にはならない。 |
観護措置 | 少年が非行に走ったのは,どのような問題を抱えているからかを明らかにするため,少年を鑑別所に留置すること |
鑑別所 | 少年に対する心身鑑別を行うための留置施設 |
〔き〕
既遂 | 犯罪が完了していること。対義語は未遂。 |
---|---|
起訴 | 検察官が,裁判所に対し,被告人に刑罰を科すために裁判を行うよう求めること |
起訴猶予 | 不起訴処分の一種で,被疑者が罪を犯したことを前提とする |
客観証拠 | 指紋・DNA・防犯カメラ映像など,人の供述以外の証拠 |
求意見 | 弁護人の保釈請求を受け,裁判官が,検察官に対し,被告人の保釈を許可すべきか否かについての意見を求めること |
求刑 | 被告人にこれぐらいの刑を科すべきだという,検察官の裁判所に対する意見 |
供述調書 | 人の供述を書面にまとめて証拠化したもの |
供託 | 被害者が被害弁償金の受領を拒絶している場合などに,被害弁償金を法務局に預け,弁済したのと同様の法的効果を発生させるための手続 |
〔け〕
刑事告訴 | 被害者が,捜査機関に対し,犯人に刑事処罰を科すよう求めること。刑事告訴を受理した場合,捜査機関は捜査義務を負う。 |
---|---|
嫌疑不十分 | 不起訴処分の一種で,被疑者が罪を犯した証拠が十分でないことを前提とする |
検察官 | 警察を指揮しながら捜査を行い,有罪の証拠十分と判断した場合は被告人を起訴し,刑罰を科すことを裁判所に求める専門官 |
検察庁 | 検察官が所属する組織。最高検察庁・高等検察庁・地方検察庁・区検察庁に分かれる。 |
現住性 | 人が建造物等を生活等に利用していること |
原判決 | 上級審が審理の対象とする下級審の判決。控訴審は地方裁判所の,上告審は高等裁判所の下した判決が正当かどうかを審理する。 |
〔こ〕
故意 | 犯罪を構成する事実を認識していること |
---|---|
公共の危険 | 不特定または多数の人々の生命・身体や財産に危険が及ぶこと |
抗告 | 裁判所の保釈に関する決定や保護処分に対し,不服を申し立てること |
控訴 | 高等裁判所に対し,地方裁判所の判決が不当であることを理由に,不服を申し立てること |
公訴事実 | 被告人が行ったとされる犯行内容。裁判では,この事実があったかどうかを審理する。 |
拘置所 | 被告人を勾留するための施設。起訴からしばらくして,警察署の留置施設から拘置所に移されることが多い。 |
公判前整理手続 | 裁判の前に主張と証拠を整理するための手続。裁判員裁判の場合は必ず行われる。 |
勾留 | 被疑者・被告人を警察署等に留置すること。起訴前は最大20日間だが,起訴後は特に制限がない。 |
拘留 | 刑罰の一種で,1日以上30日未満,拘留場に拘置される。被疑者・被告人の証拠隠滅や逃亡を防止するための勾留とは異なる。 |
勾留延長 | 10日間の勾留を,さらに最大10日間延長すること |
勾留請求 | 検察官が,権限を有する裁判官に対し,被疑者を勾留するよう求めること |
告訴状 | 被害者の告訴意思を書面化したもの |
〔さ〕
再勾留 | ある罪で勾留された被疑者が,別の罪でさらに勾留されること |
---|---|
再審 | 確定した有罪判決は誤りであるとして,不服を申し立てること |
再逮捕 | ある罪で逮捕された被疑者が,別の罪でさらに逮捕されること |
在宅事件 | 被疑者が逮捕・勾留されないまま捜査が進められる事件。対義語は身柄事件。 |
裁判員裁判 | 起訴された事件のうち,一定の重大犯罪に限り,従来の裁判官3名に,一般市民から選出された裁判員6名を加えた9名で審理を行い,判決を下す裁判 |
〔し〕
自首 | 捜査機関に対し,自ら罪を申告すること |
---|---|
示談 | 刑事事件の当事者が,事件について一定の合意に至ること |
実刑 | 執行猶予の付かない懲役刑 |
執行猶予 | 懲役刑の執行が,一定期間猶予されること。懲役1年6月執行猶予3年であれば,3年間何事もなく過ごすと,本来は1年6か月刑務所に行かなければならないところ,それが免除される。 |
児童 | 18歳未満の男女。同義語は青少年。 |
酌量減軽 | 被告人に特に考慮すべき事情がある場合に刑を軽くすること。法定刑が6月以上10年以下の懲役であれば,3月以上5年以下の懲役になる。 |
準抗告 | 勾留や保釈に関する裁判官の決定に対し,不服を申し立てること |
上告 | 最高裁判所に対し,高等裁判所の判決が不当であることを理由に,不服を申し立てること |
焼損 | 建造物等が独立して燃焼するに至ること |
証人尋問 | 裁判で,検察官・弁護人・裁判官が,被告人以外の者に質問する手続。証人を呼び出した側の質問を主尋問,反対当事者側の質問を反対尋問という。 |
贖罪寄付 | 罪を償う意思を行動で示すために行う寄付 |
初犯 | 前科前歴がないこと |
親告罪 | 告訴がなければ起訴できない罪。名誉毀損・器物損壊など。 |
心身鑑別 | 鑑別所の技官が少年に対して行う調査 |
心身耕弱 | 物事の善悪を判断する能力,または行動を制御する能力が著しく衰えていること。心神耗弱が認められると,刑が減軽される。 |
心神喪失 | 物事の善悪を判断する能力,または行動を制御する能力がまったく失われていること。心神喪失が認められると,罪には問われない。 |
審判 | 非公開で行われる,少年にとっての裁判 |
審判不開始 | 審判自体行うまでもない,という家庭裁判所の判断 |
〔せ〕
制限住居 | 保釈後の被告人の住居。裁判が終わるまで,裁判所の許可なく住居を変更することは認められない。 |
---|---|
青少年 | 18歳未満の男女。同義語は児童。 |
正当防衛 | 自己または第三者への侵害に対し,やむを得ず反撃すること。正当防衛が認められると,罪には問われない。 |
接見 | 弁護人等が,逮捕・勾留されている被疑者・被告人に面会すること |
接見禁止 | 弁護人等以外の者の面会を禁止すること。共犯者のいる事件では,接見禁止が付くことが多い。 |
前科 | 犯罪歴のうち,何らかの刑罰を科されたもの。A罪の被疑者・被告人が有するA罪の前科を同種前科,B罪の前科を異種前科という。また,交通事犯の前科を交通前科,交通事犯以外の前科を一般前科という。 |
前歴 | 犯罪歴のうち,刑罰を科されなかったもの。不起訴処分は前科にはならないが,前歴にはなる。 |
〔そ〕
即決裁判手続 | 原則起訴から2週間以内に裁判が行われ,判決まで下される特殊な手続。薬物事犯の初犯などで利用される。 |
---|---|
損害賠償命令 | 裁判所が,有罪判決を受けた被告人に対し,被害者に対する損害賠償を命じる決定。被害者が,裁判の審理終結までに申立てを行うと,有罪判決後直ちに手続が開始される。 |
〔た〕
逮捕 | 被疑者を警察署に留置すること。逮捕の効力は最大72時間で,それ以上拘束する場合は勾留による。 |
---|
〔ち〕
懲役 | 刑罰の一種で,刑務作業に従事しながら,刑務所に一定期間収容される |
---|---|
調査官 | 少年がどのような問題を抱えているのかを調査する,家庭裁判所の専門官 |
〔つ〕
追起訴 | ある罪で起訴された被告人が,別の罪でさらに起訴されること |
---|---|
付添人 | 少年手続において少年を弁護する弁護士 |
〔は〕
破棄差戻し | 上級審が下級審の判決を不当とし,下級審に審理をやり直させること |
---|---|
破棄自判 | 上級審が下級審の判決を不当とし,自ら判決を下すこと |
罰金 | 刑罰の一種で,1万円以上を国に納める |
犯罪事実 | 罪に当たる事実。捜査段階では被疑事実,裁判では公訴事実,審判では非行事実と呼ばれる。 |
犯人性 | 被疑者・被告人が本当に犯人かどうかの問題 |
〔ひ〕
被害者参加 | 被害者が裁判に参加する特殊な手続。被害者や代理人弁護士などが,被告人等に質問したり,事実や心情等に関する意見を述べたりする機会が設けられる。 |
---|---|
被害届 | 被害者が,被害に遭った事実を届け出るための書面。被害届を受理しても,刑事告訴とは異なり,捜査機関は捜査義務を負わない。 |
被疑者 | 罪を犯したと疑われている者のうち,起訴されていない者 |
被疑事実 | 被疑者が行ったとされる犯行内容。この事実があったかどうかを判断するために捜査が行われる。 |
非行事実 | 少年が行ったとされる犯行内容。審判では,この事実があったかどうかを審理する。 |
被告人 | 罪を犯したと疑われている者のうち,起訴されている者 |
被告人質問 | 裁判で,弁護人・検察官・裁判官が,被告人に質問する手続 |
否認事件 | 被疑者・被告人が罪を犯したことを認めていない事件。対義語は認め事件。 |
〔ふ〕
不起訴 | 被疑者に刑罰を科すことを求めない,という検察官の判断。主に,起訴猶予処分と,嫌疑不十分による不起訴処分がある。 |
---|---|
不処分 | 保護処分は必要ない,という家庭裁判所の判断 |
〔へ〕
弁護人 | 被疑者・被告人を弁護する弁護士 |
---|---|
弁護人選任届 | 弁護人であることを証明するため,捜査機関や裁判所に提出する書面 |
〔ほ〕
法定刑 | 法律や条例に定められている刑の幅 |
---|---|
保護観察 | 保護処分の一種で,保護観察所の保護観察官や保護司に,少年の社会内での様子を定期的に見させる,という家庭裁判所の判断。成人事件でも,執行猶予に保護観察を付し,様子を見させることがある。 |
保護処分 | 家庭裁判所が,少年に対し,審判において下す処分。主に,少年院送致処分と,保護観察処分がある。 |
保釈 | 被告人が,逃亡防止の担保としての保釈保証金を納めることにより,裁判所が被告人を釈放すること |
〔み〕
身柄事件 | 被疑者が逮捕・勾留されたまま捜査が進められる事件。対義語は在宅事件。 |
---|---|
未遂 | 犯罪が完了していないこと。対義語は既遂。 |
認め事件 | 被疑者・被告人が罪を犯したことを認めている事件。対義語は否認事件。 |
身元引受人 | 逮捕回避や釈放を求める際,被疑者・被告人が逃亡等しないことを請け合う者 |
〔む〕
無期懲役 | 懲役のうち,刑務所収容の年数があらかじめ定められていないもの。2,30年収容されることが多い。 |
---|
〔ゆ〕
宥恕 | 被害者が犯人を許すこと |
---|
〔よ〕
余罪 | 被疑者・被告人が過去に犯した罪のうち,犯罪歴になっていないもの |
---|
〔り〕
略式罰金 | 略式手続を経て科される罰金。略式手続においても,起訴され,判決で刑罰を科されることに変わりはないが,手続が大幅に簡略化されている。事実上案内に従って罰金を納めるだけで,裁判所に出廷して審理を受けるようなことはない。 |
---|
〔る〕
累犯 | 懲役を終えた者が,5年以内に罪を犯し,懲役刑に処すべき場合。1回目の繰り返しを,特に再犯という。法定刑が6月以上10年以下の懲役であれば,6月以上20年以下の懲役になる。 |
---|
〔わ〕
和解 | 民事事件の当事者が,事件について一定の合意に至ること |
---|