被告人が,女子更衣室に正当な理由なく侵入し,水着に着替え中の同僚の女性教員の姿態等を,用意していたデジタルカメラで撮影して記録媒体であるSDHCカードに録画し,ひそかにのぞき見たところ,第一審が,軽犯罪法違反の供用物件である前記デジタルカメラ及びSDHCカードを没収したという事案で,名古屋高裁金沢支部は,「デジタルカメラ1台及びSDHCカード1枚については,軽犯罪法違反の罪との関係で刑法19条1項2号所定の没収事由が存在するところ,同罪には刑法20条が適用され,没収を科することはできないのであるから,同罪が建造物侵入罪と科刑上一罪の関係にある場合であっても,やはり没収を科することは刑法20条に反し許されないというべきである」として,没収の点に限り原判決を破棄しました。
科刑上一罪の本質や,刑法20条の沿革からすれば,本判決の結論は妥当といえますが,この種の事案を「のぞき見」という軽犯罪法違反で処理することについては,毎度違和感を禁じ得ないところです。(末原)
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